Empreinte de chameau🐪ラクダの足あと
🌴モーリタニア🌙 砂漠を旅する🌴 No.7 🐪加藤智津子
「サハラの目」:ゲルブ・リシャット(Guelb er Richat)- ③
モーリタニアではアラビア語の「ハッサニーヤ」という方言が話される。
ハッサニーヤで、「ゲルブ」は心臓や中心を、「リシャット」は鳥の羽を意味する (エルは冠詞)。
「ゲルブ」とはインセルベルグ Inselberg(ドイツ語、仏語)=残丘と訳され、周囲よりも硬かったために、断層運動や侵食にも取り残された丘や山のことをいう。
砂漠のなかに孤立するそのような残丘は多く、ハッサニーヤでは「ゲルブ-○○○」と呼ばれている。
Photo: モーリタニア アドラール州 ゲルブ・リシャット「サハラの目」の中心地点から
いつものように、アタールから4WD車で出発し、Belle Etoile(野宿)は2泊。
その後、エル・ベイヤードに向かう。
友人にプレゼントの懐中電灯を渡し、石の動く坂道をガラガラと上り、また石の転がるプラトーを走り続ける。
ようやく、ゲルブ・リシャットを見下ろす崖淵までたどり着く。中心部から25キロあたりの位置になる。
慎重に坂道を下りた。
冬とはいえ日差しは強く、ラクダ草の繁るアカシアの木陰で軽くランチをとる。
4年前にはなかった砂丘に阻まれ、迂回。
ところどころで地表を撮影しながら走るが、3度めともなると、意外なものが見えてきて、とても興味深い。
中央のオーベルジュはやはり、閉まったままだった。
それにしても、何度来ても、この風景には感動する。
宇宙からは瞳に見える同心円状の丘陵群が遠く霞む。
約9900万年前の白亜紀の時代、ゲルブ・リシャットは、大量の熱水を伴うマグマの上昇を引き起こした非常に稀な巨大火山活動から生まれ、巨大なドームを形成した。
ただし、溶岩は地表には達せず、ドーム形成で止まった。
その後、水が割れ目に徐々に浸透することにより石灰岩の層を溶解し、長くゆっくりと、ドームは崩壊していく。
更に、長年の侵食や風化によって柔らかい岩石部分が削られ、今日、サハラの目として知られる円形構造になった。
この構造の層を主に構成するのは後期原生代からオルドビス紀の珪岩(quartzite クォーツァイト)で、ほぼ石英からなる硬い岩石。
NASAの衛星写真では青く見えている。
似た構造物はマリ、チャド、アルジェリアにも存在するらしいが、これほど壮観ではないようだ。
白亜紀は大陸が大きく移動する時代で、火山活動も活発だった。
深さの異なるマグマの上昇により、ゲルブ・リシャットには珍しい石が多く存在する。
これがまた、私を「サハラの目」に誘う。
もう少し風がなかったならば、ここにテントを張り、満点の星の下、地球の営みを想いつつ眠りたいものだ。
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「Guelb er Richat」は様々な名前で呼ばれる
サハラの目、アフリカの目、雄牛の目、、、、
アンモナイトやモーリタニアの「ストロマトライト」のようにもみえる
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