Empreinte de chameau 🐪ラクダの足あと
🌴モーリタニア🌙 砂漠を旅する🌴 No.13
砂漠を走る、世界で一番長く、重い列車!- ②
深夜、凄まじい音が聞こえてきた。
鉄鉱石を運搬する鉱石列車の音、、、、、
このまま通過していくものだと思った。
ところが、列車はすぐ裏で停止した。
こともあろうに、反対側からも同じようにして列車が到着した。
風の強かったその日は、不在のノマドの家を借り、なかで食事をし、テントを組み、夜の8時にはシュラフに入って眠っていた。
留守中だから借りては?と検問所の Gendarmerie(憲兵)に勧められた家で、骨組は使用済みの鉄道レールを利用した壁の厚い建物。
風だけは避けられるが、音は別だった。
3300馬力か、4500馬力か、数台分のディーゼル機関車のエンジン音が容赦なく響きわたる。
確かに、この家の裏に線路はあったが、複線になっていたとは気づかなかった。
シュラフのなかで、じっと我慢。

Photo:モーリタニア アドラール州
風で砂が動く ノマドの家の後方に鉄道の線路
モーリタニア鉄道の鉱石列車は「単線」を走る。
採掘、加工された鉄鉱石を積み込んだ列車は北部の「ズエラット駅」から190キロ南下し、「シューム駅」まで向かう。
その後、垂直に西へ方角を変え、積み出し(輸出)港「ヌアディブ駅」のあるカップ・ブラン半島までひたすら走り続ける。
全長約700キロメートルの間に、駅は「シューム駅」と の乗務員が交代する「ティメミシャット駅」が存在するだけだが、
他に7つのバイパス(ホームのない停留所)が設けられている。
モーリタニアは漁業とともに鉱業も主要産業で、鉄鉱石を運搬する鉄道はモーリタニア経済の大動脈である。
絶対に事故があってはならない。
単線を走行する 2.5キロメートルに連なった列車の、「空の列車」と「負荷のかかった列車」を複線になったバイパスで交差させている。
その動きはヌアディブに設置されたコントロールステーションを介して、リアルタイムに監視される。
ヌアディブとズエラットを結ぶ光ファイバーケーブルの敷設プロジェクトにより、最新の通信システムも備えている。
メンテナンスも欠かせない。
砂漠を走行するということは「砂との戦い」でもある。
砂は常に空を漂い、降ってくる。
線路に堆積する砂の除去は必須で、特別な作業員によるシャベルを使っての手作業が行われる。
定期的に線路に付着した砂を掃き出す特別な列車や、自動タンピングマシンなども導入している。
重い列車の走行も、レールや枕木に大きなダメージが及ぶため、点検や補修、交換は欠かせない。
そんな働く作業員たちの姿を見かけることは多い。
私と共に行動しているドライバーは、線路に働く人たちを見つけると「ご苦労さん」というような仕草をする。
深夜のディーゼル機関車の爆音はそのまま、作業する人たちの声とともに1時間近く続いたのち、静寂は戻った。
しかし、早朝にも同じように鉱石列車がやってきて止まった。
笑うしかなかった。
たまたま宿泊した名前も知られていないノマドの小さな集落に検問所があったのは、列車が交差する重要なポイントだったからだ。
(つづく)
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