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Empreinte de chameau🐪ラクダの足あと

🌴モーリタニア🌙 砂漠を旅する🌴 No.16 🐪加藤智津子

砂漠を走る、世界で一番長く、重い列車! ⑤


モーリタニア鉄道はモーリタニアの砂漠の中心部を700kmの旅で横断している。

ズエラットの鉱山とヌアディブ港とを結び、その主な任務は鉄鉱石を輸送することにある。

けれど、この地域はほとんど水がなく、住民は過酷な状況下にあった。

そこで、鉄道を利用し、大型タンクに飲料水を入れ輸送することで、生活の大きな希望となった。

Photo:モーリタニア アドラール州

雨の砂漠を走るモーリタニア鉄道の水タンク車


週1度、モーリタニア鉄道は牽引車に水タンク車とフラットカーを数台連結して運行している。

水のない沿線地域へ水を届け、フラットカーには商店主が乗り込んで日用雑貨を販売するのが役目。

列車は駅のあるシュームとティメミシャット以外の小さな村や集落のある駅に停車(*1)時には一夜を過ごす。

列車が到着すると、人々が集まってきて水タンク車のコックをあけ、大きな容器に移し、ロバ車で運ぶ。

ホースをつないで、その地域の貯水槽(*2)フレキシブル・タンク(*3)にも水を補給する。

そこからは、誰もが自由に水を汲むことができる。

もちろん、家畜用にも、またモーリタニア領内でハイマ(テント)を張る西サハラのノマドも、同じように利用できる。

フラットカーでの日用品や食品の販売は物資のとぼしい砂漠で、生活必需品を買うことができる小さなスーク(市場)になり、人々の交流の場にもなっている。


二次的な使命であった水の輸送は、時が経つにつれ、はるかに重要になった。


さらに、モーリタニア鉄道は、砂漠で切り出された石、花崗岩や石英を特別仕立ての黄色の車両でヌアディブまで輸送する。

鉄鉱石と同様に、輸出産業に加わった。


また、観光用にも利用されている。

「砂漠列車(train du désert)と呼ばれ、SNIM(モーリタニア鉄道公団)の子会社とフランスの観光会社「Point Afrique」との共同運行で観光客を乗せて運行している。

ズエラット、シューム、ベナミラ(*4)間を、SNIMのクラシックなCCアルストム社製(*5)、もしくはゼネラルモーター社製のディーゼル機関車に客車2両を取り付け、速度30km/H以下で進む。

観光客は両側に広がる砂漠、モーリタニアで最も古い台地(先カンブリア時代)を、モーリタニアのお茶を飲みながら、車中からゆったりと堪能することができる。


砂漠を走る「世界一番長く、世界重い列車」、まだまだ利用できることはあるに違いない。



(*1)駅に停車

単線運行のため、バイパスとして交差させるための駅(停車場)

(*2)貯水槽

地下に掘られ、蓋がされている

(*3)フレキシブル・タンク

高強度ポリエステル製で、水を入れるとマットレスを大きくしたような形になる

(*4)ベナミラ Ben Amïra

高さ633メートルのチャーノカイト質片麻岩の山がある

アフリカで最大の一枚岩(monolithe モノリス)

(*5)CCアルストム(Alsthom)社製

これがきれいに磨かれている

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もし、旅行者に体力があるならば、鉄鉱石を運搬するホッパー車に乗ることも可能だ。

客車ではないので、無料、地元の人たちや、ヤギたちも乗ってくる。

ヌアディブ→ズエラットは空だが、逆の場合は鉄粉舞う鉄鉱石の上に乗ることになる。

夜の砂漠を走ることが多く、とても寒く、トイレもなく、アナウンスもないが、思い出深い体験になるかもしれない。


 

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© Chizuko Kato

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