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Empreinte de chameau🐪ラクダの足あと

🌴モーリタニア🌙 砂漠を旅する🌴 No.20 🐪加藤智津子

① アフリカで一番大きなサハラのモノリス・ベナミラ 


2018年、モーリタニア北部のズエラットまで舗装道路が完成し、便利になった。

以前は首都ヌアクショットからアタールまで450kmだったが、北のシューム、更にモーリタニア鉄道駅のズエラットまで伸び、全長767 kmが舗装道路になった。

以前はすれ違う車もほとんどなかったアタール、シューム間の「道なき道」は、4WD車ではなく、普通車で走行できるようになったため、ミニバスの定期運行も可能になった。

その運転手として働いている旧知のノマドの青年に偶然、遭遇した!

舗装道路によって、人も、ものも、移動が容易になり、生活も活性化することになる。


そして、シュームまで来れば、魅力的なモーリタニアのジオサイト、ベナミラが近い。

モーリタニアの巨石「ベナミラ(Ben Amira)」はアフリカでは最も大きなモノリスとして知られている。

Photo:モーリタニア ダフレト・ヌアジブ州  ベナミラ(Guelb Ben Amira )633m


モノリスは、映画「2001年宇宙の旅」に登場し、地球外生物が人類の技術開発を促すために作った謎の石柱状の黒い物体を思い浮かべる。

モノリスは400万年前、猿人の知的生命への進化を助長するところから登場し、その後、宇宙飛行も可能になった人類の前に現れる。月と木星に。

モノリスを建設したのは、数百万年、数千万年以上も前?に、惑星間航行ができるようになっていたと思われる地球外生物が、人類を進化した知的生命体へ導き、遠隔監視者として残したのがモノリス?

最後に、モノリスは残された人類の前に現れ、肉体を捨てた人類を超越した存在=スター・チャイルドへと進化させる。


モノリス(monolithe)の語源は、ギリシャ語の「mono」(単一の)と「lithos」(石)に由来し、ひとつの塊状になった巨大な石をいう。

モノリスとして、オーストラリアのバリングラ(マウントオーガスタス)、ウルル (エアーズロック)が有名だが、ベナミラも大きい?(*1)ことは確かだ。

モーリタニアの地図では Guelb Ben Amira (*2)と表記され、「ベナミラ」と呼ぶ。

Guelb(ゲルブ)とは、モーリタニアのアラビア語、ハッサニーヤで、砂漠のなかに孤立する残丘(インセルベルグ:Inselberg)のこと。

島の山、砂漠のなかに孤立する山であるベナミラは高さ633m(*3)


ベナミラのある砂漠は、先カンブリア時代の造山運動によってできた地層がそのまま残り、楯を伏せたような形状になった準平原で、「レギバット楯状地」と呼ばれる。

変成岩類と花崗岩類等が基盤になった地域。

変成岩の源岩は火山岩と堆積岩で、太古代の片麻岩,角閃岩等からなり、33億年、30億年、27億年前のものが確認されている。

レギバット楯状地はモーリタニア鉄道線路の南部から、西サハラを経て、アルジェリア南部まで、長さ約1500 km、幅約400 kmに及び、モーリタニア国土(103万km²)としてはかなりの部分を占める。

ゲルブ(モノリス)はこの楯状地と南部のアムサガ(*4)と呼ばれる地区まで100kmにわたり、まるで、海(砂漠)に浮かぶ島のように点在している。

ベナミラを構成するのは、約32億年〜28億7千年前にかけてのチャーノカイト質片麻岩で、黒っぽい茶色。

雨のときに立ち寄ったこともあり、滑らかな黒い石というイメージがあるが、その時々で違った色に見える。


この地域には鉄鉱石、金、銅の鉱床があり、希少鉱物等もあるようだ。

砂漠を移動中に試掘の跡があるゲルブ(モノリス)を見かけたりすることも多い。

しかし、必ず見るのは1、2台の4WD車に乗り込んで金を探すグループ。

たまたま、砂漠で金の塊(*5)を見つけた人がいたことから、この「砂漠の夢」はずっと続いている。



地球の表面を覆う十数枚の、厚さ100kmほどのプレートの上にある大陸は、爪が伸びる速さで動いている。

そして、約2億5千万年後には今の5大陸が合体し、超大陸が形成されると考えられている。

レギバット楯状地は、カンブリア紀(5億4100万年前)以前のまま、ほぼ変わらず存在する西アフリカクラトンの一部であり、安定陸塊だ。

「2001年宇宙の旅」のモノリスは人類登場とともに出現したが、地質年代から存在し続けるサハラのモノリス、ベナミラは果たして、次に形成される超大陸に残るのだろうか。

地球を記録するモノリスになっていて欲しい。


ベナミラへ行くには、モーリタニア鉄道の子会社とフランスの観光会社(Point Afrique)が運行させている水色の砂漠列車(Train du désert)を利用すれば、車窓から地球を感じる砂漠が楽しめる。

また、4WD車で、シュームから鉄道に沿った砂漠道路を西へ65km走れば、1時間半〜2時間でベナミラに到着する。

テントを準備していけば、ベナミラの前で太古の夢が見られるかもしれない、、、、、、


モーリタニアのジオサイトはまだ、まだある。

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(*1) モノリスの大きさ 

高さでは、1位、1105mのバリングラ(マウントオーガスタス)、2位、868mのウルル(エアーズロック)、3位は633mのベナミラ。ただ「大きさ」となると特定しにくい

バリングラはその下にある層に属する石の露出であって、一塊の石ではないという指摘もある

ウルルは地下でU字型になっていて、地表には全体の5%しか出ていない

ベナミラも砂漠の下の部分はもっと大きいはずだと言われている

すると、モノリスとしては1位がウルルで、2位がベナミラとなる。

(*2)Ben Amira بن أميرة

アラビア語ではビン・アミーラ、王女の息子という意味 

(*3) ベナミラの高さ

諸説あるが、研究者は砂漠から633mと表記している

(*4) アムサガ Amsaga Complexアムサガ複合体(集合体)と言われる地域

地層や岩石(変成岩、火成岩など)の構造が複雑で細かく区分することが困難な地域で、先カンブリア時代からオルドビス紀までの地層で構成されている。銅はここで露天掘りされている

(*5) 金の塊 両手に包み込めるほどの大きさで、それはそれは、ずつしりと重い!(当然)と聞いた


ベナミラを上空から見ると、、

世界で2番めに大きいモノリス・ベナミラ登山

フランスのクライマーによって、プロフェッショナル向けにいくつかのルートを設置しているが、初心者用にシングルルートで頂上まで登るガイドツアーも開始される

(2023年2月より)



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