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Empreinte de chameau🐪ラクダの足あと

🌴モーリタニア🌙砂漠を旅する🌴No.26    🐪加藤智津子

① サハラ砂漠へ落下する ― フルグライト(Fulgurite)/閃電岩/電菅石/雷石(?)


日本で最大のミネラルショーが池袋で開催された。

今回は海外からの出展者が増え、会場も3階まで増設され、久々に盛り上がっていた。

その海外ブースのなかに、珍しく「モーリタニア」と表示されたものがあった。

細かくチェックしているわけではないけれど、ミネラルショーで、モーリタニア産の岩石や鉱物を見かけることはほぼ、ない。

それは「Fulgurite Mauritania」と明記されたフルグライトで 、¥300/g の量り売りだった。

Photo:モーリタニア、アドラール州 

嵐が迫ってきても、ゲームに興ずる砂漠の民たち


フルグライト(Fulgurite)は閃電岩、あるいは雷管石ともいい、ラテン語の雷(Fulgur)が語源。

砂漠に落ちた雷の衝撃によって、砂が溶けてできあがった準鉱物のこと。


日本では樹や建物に落雷するが、何もない砂漠では砂地へ落下する。

落雷はほんの瞬間、わずか1/1000秒間に放電し、およそ数千万〜1億ボルト、1,000〜20万アンペアの電流が流れる。

さらに、熱は30,000度に達する。太陽の表面温度が約6,000度だから、その約5倍の温度になる。


このような強烈な雷が砂漠に落下すると、どんなことになるのか?

砂漠の砂はオレンジ色に見えるけれど、寒暖の差で割れて、飛ばされ、ぶつかりあって細くなった石英の粒に酸化鉄が被覆したものだ。

砂上に雷が落ちると、一瞬にして電流は落雷地点を中心として地中を走り、石英部分を溶かし、それを凝固していく。まるで植物が根を下ろすように、枝分かれし、その経路に沿ってガラス細工のようなフルグライトが形成される。

ガラス質の管に、砂の粒子が付着したつぶつぶの表面、管の中は光沢がある濃いグレーで滑らかだ。太い菅のフルグライトから見えるグレーの部分は「熱で溶けた」ことをよく物語っている。

それらはぶつかり合うと、ガラス管のように心地よい音もするが、もろい。

このフルグライト=天然の石英ガラスは、ルシャトリエライト(Lechatelierite)で、(落雷などの)衝撃変成作用によって形成される非結晶準鉱物ということになる。


色と形は砂漠によってそれぞれ異なるようで、モロッコ南部の砂漠で拾ったフルグライトは薄いベージュ色をした、ほぼまっすぐな管だった。


砂漠での雷の体験はアドラール州滞在時に、1度しかない。

空気が湿り気を帯びてくると、空はみるみる暗くなり、雨混じりの強風とともに稲妻が鳴り響いたが、そのときは、やや遠かったようだ。

モーリタニア中南部、タガン州のワーディー(涸れ川)で、100m2にも満たない面積に、数十個の衝突跡があったと聞いたことがある。すると、落雷しやすい場所、つまり、雷の通り道は決まっているのではないだろうか。

そのようなことを熟知している砂漠の民たちは、拾い集めて販売しているのかもしれない。やはり、砂漠に落ちている新石器時代のヤジリとともに。


砂漠では、突然の落雷、突然の洪水は起こりえる。

天候の危ういときは、川が流れた跡のある場所に、間違ってもテントを張らない方がよろしいようです。

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モーリタニアのフルグライト

前列のフルグライトが 約11cm


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