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Empreinte de chameau🐪ラクダの足あと

🌴モーリタニア🌙 砂漠を旅する🌴 No.17 🐪加藤智津子

砂漠の一番美しいとき


国土の約80%が砂漠の国、モーリタニア。

首都、ヌアクショットの喧騒を逃れて、少し南に車を走らせれば、大きな砂丘が続いている。

夕方に、そんな砂丘へ登って遠くを見つめている人を見かけたこともある。

休日を砂漠で過ごすと言う人もいる。

町に暮らすモーリタニア人も、何代か前はノマド、遊牧民で、砂漠のなかでの生活だった。

そんな彼らは砂漠の生活を懐かしみ、砂漠に対しては特別の想いもあるに違いない。

Photo:モーリタニア アドラール州 シンゲッティ


私は旅人、砂漠は好きでも、いつも、そう簡単には行かれない。

でも、行くときにはより良い場所で、すてきな時間を過ごしたいと考えている。


砂漠は広く、訪れる人はそう多くはなく、どこで野宿しても、誰かと一緒になることはない。

初めて訪れた場所では、幾つもの候補を探し、そのなかから選ぶことが多い。

風が吹き抜けないような場所、背後に風を遮る砂丘やアカシアの樹があるような場所でテントを組みたい。

せっかくだから、美しい砂漠であることが望ましい。


場所が決まり、その場に落ち着くころにはマットレスの上で、夕食前のミントティーを飲んでいる。

砂漠で、私の一番好きな時間が始まる。

太陽はとても大きく膨らみ、地平線まで近づき、最後は吸い込まれるようにして、一瞬にして沈む。

沈んだあともしばし、地平線の下から透明な光芒を放つ。

その光が消えてしまうと、砂漠も、空も、美しいピンク色に染まる。

残照 ‼︎

最初にこの風景を見たのはいつのことだったか、それ以来、この時間に遭遇したいと思うようになった。

しかしながら、砂漠で最も美しいこの時間は長くはない。

少しずつ色が薄くなり、闇がやってきて、しばらくすると星が瞬き始める。

それも悪くはないが、ほんの束の間の、この美しいひとときが愛おしい。


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